あの頃のキミはもういない
屋上。

「愛奈お待たせー♪」

「あ!結衣!もう遅……」

はい。
予想どうりの反応。

佐川君の姿を見た途端、固まった(笑)

ほんと、面白いわこの2人(笑)


「な、何で雅也く「さぁ、お弁当たべよー!」

愛奈の言う事は大体分かるけど、ここで言っちゃったら私の陰謀バレちゃうもんね。

ま、最初のあの愛奈の反応で佐川君は薄々気づいてるだろうけど(笑)


「愛奈、今日のお弁当なぁに?」

「今日は白ご飯と、卵焼きと、ウインナーと、ハンバーグと、マカロニのサラダだよ」

愛奈はお弁当を開けて、私に軽く説明した。


「クスッガキの時からお弁当の具まんま一緒じゃん(笑)」

横から佐川君が笑いながら言った。

チラッと愛奈のほうを見ると、愛奈は顔を赤くしていた。

分かりやすい子(笑)


「よく覚えてるね。幼稚園の時のお弁当の具なんて」

平然と言葉を連ねてるけど、私には愛奈が今すごくドキドキしてるって分かる。


「え?あ、あぁ。俺、昔から記憶力だけはいいから」

はい。
佐川君もですか(笑)

なるほど。
好きな子のお弁当の具は覚えてると。


見てるだけで面白いなこの2人(笑)

でも、これ以上邪魔するわけにはいかないか。


「愛奈。私そういえば先生に呼ばれてるんだった。だから行くね」

もちろんそんなの嘘。

「え!?でもお弁当……」

愛奈は私の腕を掴んで行かないでという目で見てきた。

きっと、佐川君と2人っきりにされればドキドキしすぎて失神するかもしれないとでも言いたいんだろう。


「あー大丈夫!お腹空いてないし。じゃあね!」

そして、佐川君にキスしてあげなさい。
きっと佐川君も失神しますよ(笑)


私は顔を赤くしてお弁当を食べている2人を見ながら、屋上を出た。

頑張ってね、愛奈♪




あー今頃2人、うまくいってるかなぁ。

そんな事を考えながら廊下を歩いていたその時

スッ

良い香りがふわっと私の前を通り抜けた。

パッと後ろを振り返ると、そこには見覚えのない女の子の姿。


はて?
あんな子、この学校にいたっけ?

まぁ、この学校の制服着てるからこの学校の生徒なんだろう。

別に、この学校の生徒全員の名前なんて覚えてるわけないしね(笑)
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