あの頃のキミはもういない
ガラガラッ

静かな教室に突然ドアが開いた音がしたから、クラス中の視線がドアのほうに向いた。


「こら!お前、入学式から遅刻とは良い度胸だな!」

「うるせーな。別に関係ねぇだろ」

「なっ!」

え……待って……この人……。

遅刻してきた人は私の隣の空席に座った。


この横顔……

間違いない。

この仕草、この目。

雅也君その人だ。

私はその時思い出した。

雅也君と別れる時にもらった2人で撮ったあの写真のことを。
< 4 / 60 >

この作品をシェア

pagetop