あの頃のキミはもういない
「よし。着いた着いた♪予定してた部屋♪」

ある部屋で俺達は止まった。

あれ?
さっきお父様って呼んでたよな?

そういえば返事がなかったような……。

それに、何で誰もいないんだ……?

その瞬間嫌な予感がした。


その予感は見事に的中する。




「な、なぁ。お前の親父は?」

俺は恐る恐る聞いた。


「クスッ最初から私達2人だけよ」


……やっぱり。
やっぱりこいつ、俺を騙してたんだな。


最初からこいつに良いイメージは抱いてないからなんとなくそんな気はしてた。


「ねぇ雅也?何で今日あの子とお弁当食べてたの?」

キスを求めてるのか、こいつは必要以上にベタベタしてきた。

もうお前なんかにキスなんかしねぇっつの。


「別にお前に関係ねぇだろ」

俺は負けじと女に答えた。
もちろん、ベタベタくっついてくる女の体を俺の体から離そうとしながら。

騙した以上、もう前みたいに優しくなんかしねぇかんな。


でも、女のほうが強いって言うとおり、こいつのほうが1枚上手だった。
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