あの頃のキミはもういない
陰謀
次の日。

俺は愛奈を迎えに行った。

「雅也君おはよ」

「あぁ。おはよ」

愛奈と学校に向かう。

正直、毎朝ドキドキしてる。

だって、まだ完全には起きてない少し寝ぼけぎみの愛奈を俺が真っ先に見れるんだから。


「あ、そうだ。雅也君、昨日の事なんだけど……」

「ん?」

上目使いで俺を見た。

やべぇ……可愛すぎる。


「き、昨日……あれからあの人と何したの?」

不安げな泣きそうな表情。

「……。殴られた」

「え!?」

クスッ
反応面白ぇ。
昔っからからかいがいあるんだよなぁ、こいつは。


「な、殴られたって……!」

「実はさ」

俺は昨日あった事を愛奈に話した。


「じゃあ……婚約は……」

「取り消しだな」

愛奈の言葉を繋ぐように、俺は言った。


「そっか!」

愛奈の嬉しそうな声が俺の頭の中でこだまする。


「あ!結衣~!」

藤川の姿を見つけ、まっすぐにそこに向かって走っていく愛奈。

感情が表に出やすい奴だよな。

俺はいつまでも愛奈の後ろ姿を見つめていた。


でも、俺はまだ知らなかった。
あいつの……あのくそ親父の陰謀を。
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