あの頃のキミはもういない
「愛奈?大丈夫?」

「へ!?あぁ、うん!大丈夫!」

呆然としている私を見て、結依が顔を覗き込んできた。
正直、こんな可愛い顔に顔覗かれたら少しドキッとする。


「そ?なら良いけど」

「さ!教室戻ろ!そろそろチャイム鳴るよ!」

「……うん」

無理に明るくしようとしても、結依には分かっちゃったみたい。


雅也君……「何かあったら」って言ってたけど、何も起こらないよね……?

私達、このままでいられるよね……?


私は心の中でこれから起こるかもしれない出来事に一抹の不安を抱えながら教室に向かって歩いた。

その後ろを歩く結衣が心配そうな顔をしているなんて事私は知らない。
< 49 / 60 >

この作品をシェア

pagetop