あの頃のキミはもういない
『現実』
「じゃ、今日はここまで!皆、1年間よろしくな!あ、佐川。職員室に来い。遅刻指導だ」

「はぁ?嫌だよめんどくせぇ」

「いいから来い!」

雅也君は無理矢理職員室に連れて行かれた。


「愛奈~。今日、カラオケ行かない?」

「あ、ごめん。先生に用事があって。今から職員室行ってくるの」

「そうなんだ」

「ホント、ごめんね?」

「ううん。大丈夫!また明日ね!」

「うん!」

ごめんね、結衣。

でもどうしても確かめたいの。

本当に雅也君なのか。

って、言っても雅也君と話したいだけなんだけど(笑)

だって、10年ぶりに会ったんだから、喋りたいじゃない!(笑)


職員室の前で待ってるのも気が引いたから、靴箱のところで待つことにした。

途中で生徒達が変なものを見るような目で私を見てたけど、気にしない気にしない。

先生にも帰れよって言われたけど、親が迎えに来るのでって言って誤魔化した。
多分バレてると思う(笑)


そろそろ来るかなぁ。

辺りをキョロキョロ見回してみると……

あ、来た!

私は雅也君の姿を見つけて、駆け寄った。

「雅也君!」

「!」

雅也君は今私の存在に気づいたように目を見開いた。

教室で隣の席に座ってたのに気がつかなかったの……?

「久しぶりだね!雅也君!」

気を取り直して、私は喋った。

でも……

「人違いなんじゃねぇの?」

私の知っているあの雅也君じゃなかった。

人違い……?

じゃあ何でさっき反応したの……?

雅也君……

何でそんな冷たいの……?

わけわかんないよ……。



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