あの頃のキミはもういない

バンッ

俺は親父の部屋を勢いよく開け、

「おいくそ親父!」

部屋に入るなり怒鳴った。


「何だ騒々しい」

「何だじゃねぇよ!てめぇやること汚すぎだろ!」

「あぁー。愛奈ちゃんの事かクス」


こいつ……この状況で笑うんじゃねぇよ。

マジでムカつく。


「笑ってんじゃねぇぞ!てめぇそこまで傷つけて楽しいのかよ!」

「楽しいとかそういう問題ではない。お前が婚約を認めれば解決するだけだ」

「だからってあんな事して良いのかよ!」

「助けたければ婚約を認めろ」

「っ……」

ぜってぇ……負けてたまるかよ。


「俺は決めたんだ。愛奈を守っていくって。だから婚約なんてしねぇ。したらあいつのそばに居れないから」

「でもそれはお前だけの気持ちだろ」


「……」


くそ……やっぱり俺は勝てないのか……?

このくそ親父を地獄に落とすのは無理なのか……?


「旦那様!」

その時部屋に焦り顔で入ってきたのはお手伝いの沢田だった。
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