あの頃のキミはもういない

「何だ。今取り込み中だ。後にしろ」

親父が沢田に冷たく言った。

正直出ていって欲しくない。

沢田が来て少し助かった。

めでたくも、その願いは叶う。

「それが……『愛奈』と名乗る女性が来て、旦那様に会わせろと」

「「!」」

沢田の突然の知らせに俺と親父が同時に反応する。

そうか。
沢田は引っ越してから高校で会うまでの間に、家に来たから愛奈の事知らないんだ。


「……帰らせろ。居ないっておい!」

俺は夢中で玄関に向かって走った。


愛奈……悪い。
守りきれなくて。

でも、もう迷惑かけない。

愛奈……俺が……お前を守る!
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