シンデレラを捕まえて
*
穂波くんから連絡が来たのは、それから一週間後のことだった。
「会える?」
かしこまった声に、もしかしてと不安を抱いた。それでも、私は仕事の後にGIRASOLで会おうという彼の言葉に頷いた。
「――やあ、久しぶり、美羽ちゃん」
「こんばんは、セシルさん」
私を出迎えてくれた男性は、相変わらず大人っぽくて素敵だった。そして、溢れる家具たちもまた温かな表情で私を出迎えてくれた。
「穂波から連絡あって、席はとってあるよ。奥にどうぞ」
「あ、はーい」
穂波くんはまだのようだった。いつだったかに「欲しい」と叫んだ椅子に腰かける。手入れの行き届いたそれはやっぱり私の好きなデザインだと思う。
店内を見渡していると、待ち人が現れた。
「ごめん、美羽さん。待たせた」
「ううん、ついさっき来たばかりだから」
私の前に腰かけた穂波くんは、私をぐるりと見回して眉間にきゅっと皺を刻んだ。
「何か少しやせてない? メシ食ってる?」
「ん? んー、うん。食べてるよ?」
「そうかなあ。まあいいや、いっぱい頼むから、いっぱい食べなさい」
「ふふ、はい」
そうして、穂波くんがオーダーしたのは、ほとんどが私の好きな料理だった。
「すごいね、穂波くん。どうして私の好きな物が分かるの」
「そりゃ、無駄にここでバイトしてないよ」
驚く私にくすくすと笑って見せる。それはいつもの穂波くんの笑顔でほっとする。
これまでは本当に仕事が忙しかっただけだったんだ、と思わせてくれる。
テーブルの上のお皿の大半が空になってきたころだった。
穂波くんが、「これ」と小さな箱を取り出した。
穂波くんから連絡が来たのは、それから一週間後のことだった。
「会える?」
かしこまった声に、もしかしてと不安を抱いた。それでも、私は仕事の後にGIRASOLで会おうという彼の言葉に頷いた。
「――やあ、久しぶり、美羽ちゃん」
「こんばんは、セシルさん」
私を出迎えてくれた男性は、相変わらず大人っぽくて素敵だった。そして、溢れる家具たちもまた温かな表情で私を出迎えてくれた。
「穂波から連絡あって、席はとってあるよ。奥にどうぞ」
「あ、はーい」
穂波くんはまだのようだった。いつだったかに「欲しい」と叫んだ椅子に腰かける。手入れの行き届いたそれはやっぱり私の好きなデザインだと思う。
店内を見渡していると、待ち人が現れた。
「ごめん、美羽さん。待たせた」
「ううん、ついさっき来たばかりだから」
私の前に腰かけた穂波くんは、私をぐるりと見回して眉間にきゅっと皺を刻んだ。
「何か少しやせてない? メシ食ってる?」
「ん? んー、うん。食べてるよ?」
「そうかなあ。まあいいや、いっぱい頼むから、いっぱい食べなさい」
「ふふ、はい」
そうして、穂波くんがオーダーしたのは、ほとんどが私の好きな料理だった。
「すごいね、穂波くん。どうして私の好きな物が分かるの」
「そりゃ、無駄にここでバイトしてないよ」
驚く私にくすくすと笑って見せる。それはいつもの穂波くんの笑顔でほっとする。
これまでは本当に仕事が忙しかっただけだったんだ、と思わせてくれる。
テーブルの上のお皿の大半が空になってきたころだった。
穂波くんが、「これ」と小さな箱を取り出した。