シンデレラを捕まえて
「美羽さんのこと、知ってる部分だってあるよ」


穂波くんが鎖骨に触れそうな位置で呟いた。


美羽さんを知ってからの半年、ずっと見てたもん。多分、美羽さん自身が気づいていないことだって、俺は知ってる。だけど、確かに知らない部分もいっぱいある。
だから、知りたい。俺に、教えてよ」


美羽さんの事、もっと教えて。
そう言葉を紡いだ唇はそのまま、私の唇を塞いだ。


あの晩と同じ、角度を変えながら柔らかく食んでくる唇。啄む様なキスを繰り返したのち、優しく侵入してくる舌。
両腕を掴まれて、その手は二の腕に触れ、腰に回って私を絡め取る。


「美羽、さん」


僅かに離れた舌先。唾液が細く糸を引いた。穂波くんが名前を呼ぶだけで、私の頭はくらりくらりと揺れた。それは決して、アルコールのせいではない。


「……いい?」


彼に、熱を帯びた瞳で見つめられ、苦しげに乞われて、頷かないでいられる女がいるのだろうか。


「う、ん……っ」


返事を口にする前に、再び塞がれた。舌を絡ませ、吐息を交換する。
どうして穂波くんはこんなにも私を刺激するのだろう。

広い背中に手をまわし、ぎゅっと抱きしめた。


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