シンデレラを捕まえて
「美羽さん!」
「え。あ、穂波、くん?」
振り返れば、僅かに息を上げた穂波くんがいた。彼は私の手にしていた荷物を取り上げ、厳しい顔で訊く。
「何があったの?」
「え?」
「何かあったんでしょ。事務所でも泣きそうな顔してた。しかもその怪我。でもってこのおっきな荷物」
穂波くんは酷く機嫌が悪そうで、声もピリピリしていた。
「な、何で怒ってるの?」
「怒ってない! ねえ、言って。何を抱えてるの」
穂波くんの綺麗な黒い瞳が、私を捉える。
「あ、あの」
「ねえ、相談することも出来ないの? 俺ってそんなに信用ない?」
穂波くんの声が、少し大きくなる。
「そんなこと、ないよ」
「じゃあどうして言ってくれないの? 年下だから頼りない?」
「そんな……違うよ」
「セシルさんには相談したんだよね? セシルさんの方が俺より大人だから信頼しやすい?」
穂波くんの声にだんだん苛立ちが滲み始めていた。
「セシルさんに相談なんて、してないよ」
「GIRASOLであんなに親しげに話してたのに?」
「それは、話はしたけど、でも何も」
「それとも安達さんに話した? 同じ事務所で毎日顔つき合わせてたら相談しやすいもんね」
「してないって。どうしてそんなことばかり言うの」
「俺に頼ってくれないからに決まってるだろ!」
叫ぶように言われて、びくりとなった。身を竦ませると、「強く言い過ぎた。ごめん」と穂波くんがぼそりと言った。
「……ねえ、言ってよ。一人でそんな顔してるくらいなら、俺に言って。助けになるから」
頼むよ。穂波くんはさっきまでの勢いを無くした低い声で言った。
「ど、して……。どうして、そんなに私に優しくしてくれるの?」
「それ、訊く?」
私を見下ろす瞳が再び厳しいものになる。
「え。あ、穂波、くん?」
振り返れば、僅かに息を上げた穂波くんがいた。彼は私の手にしていた荷物を取り上げ、厳しい顔で訊く。
「何があったの?」
「え?」
「何かあったんでしょ。事務所でも泣きそうな顔してた。しかもその怪我。でもってこのおっきな荷物」
穂波くんは酷く機嫌が悪そうで、声もピリピリしていた。
「な、何で怒ってるの?」
「怒ってない! ねえ、言って。何を抱えてるの」
穂波くんの綺麗な黒い瞳が、私を捉える。
「あ、あの」
「ねえ、相談することも出来ないの? 俺ってそんなに信用ない?」
穂波くんの声が、少し大きくなる。
「そんなこと、ないよ」
「じゃあどうして言ってくれないの? 年下だから頼りない?」
「そんな……違うよ」
「セシルさんには相談したんだよね? セシルさんの方が俺より大人だから信頼しやすい?」
穂波くんの声にだんだん苛立ちが滲み始めていた。
「セシルさんに相談なんて、してないよ」
「GIRASOLであんなに親しげに話してたのに?」
「それは、話はしたけど、でも何も」
「それとも安達さんに話した? 同じ事務所で毎日顔つき合わせてたら相談しやすいもんね」
「してないって。どうしてそんなことばかり言うの」
「俺に頼ってくれないからに決まってるだろ!」
叫ぶように言われて、びくりとなった。身を竦ませると、「強く言い過ぎた。ごめん」と穂波くんがぼそりと言った。
「……ねえ、言ってよ。一人でそんな顔してるくらいなら、俺に言って。助けになるから」
頼むよ。穂波くんはさっきまでの勢いを無くした低い声で言った。
「ど、して……。どうして、そんなに私に優しくしてくれるの?」
「それ、訊く?」
私を見下ろす瞳が再び厳しいものになる。