男の子だって恋しちゃう

「あっあの………」


お相手が肩をびくつかせ
俺が美里の部屋へ入ってきてから
第一声を発した


「うち…今日帰ったほうがいいんじゃないかな……」
「ええっなんでよ嫌よ嫌!優希が帰らなくてもブス眼鏡をさっさと帰らせるから何も気にしなくていいって!」
「美里…やめようよその言い方…」
「それこそ嫌よっ!これは幼馴染の長い付き合いから生まれたあたしの愛情表現なのよーっ」



何が愛情表現だこのくそ我儘はんけつぶすが

心の中で悪態をつくと
変なところで勘の鋭い美里が
先ほどつねった頬と同じ箇所に
爪を食い込ま、さらにつねり始める


「いたいいたいいたいってば!何なんだよもう!」
「顔が語ってんのよ、顔がっ!」
「何のことだかさっぱり分かんない」
「いい加減にしないと塩まくわよ塩っ!悪霊顏になってんのよ!退散!退散!」


いい加減もなにも俺の顏がどう語ってるというんだ

いついかなるときも嘉村唯人の顏は
ごく普通の平々凡々な一般的な顔だ
あっあの人似てるねーだなんて
ドッペルゲンガーもどきがごろつきといる
クラスで1人ああ、いるよな
なんて感じのあるある顔だ

悪霊もくそもない
塩なんてまかせてたまるかってんだ



< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop