ひなたぼっこ~先生の、隣~ 【先生の休日】
「先生」
ボーッと芝生の上で寝転がっていると、立川が来た。
「どうした?妹尾に何かあったのか?」
「安川が妹尾さんの着替えするって言ってたから、出てきました」
「そうか」
「俺もいても良かったですか?」
「・・・立川」
「冗談ですよ。男の嫉妬はみっともないですよ」
「うるさいよ」
立川は妹尾のことを好きだと言いながら、こうして俺たちのことに協力してくれている。
本当に何を考えているのかわからない生徒。
「先生って、妹尾さんと付き合ってから変わりましたよね?」
「は?」
「何か、安定感が出てきたというか」
「妹尾と付き合う前の俺は、安定感がなかったって言いたいのか?」
「いや、そうじゃないですけど・・・前の高橋先生って、何か危なっかしいって感じだったんです」
「危なっかしい?」
「先生だって人間だから感情はあるのに、高橋先生は常に ゙良い先生 ゙って感じで、いつこの人は隙を見せるんだろうって思ってました」
「そうか?俺はお前たちが思ってるより、良い先生じゃないぞ?」
「まぁ、今は妹尾さんと付き合ってますしね。良い先生ではないですね。どちらかというと、犯罪者?」
「・・・」
コイツはー・・・
「立川、お前は一体何を言いたいんだ?」
「先生が隙を見せれるのが、妹尾さんだったんですよね」
「あ?・・・あぁ。隙を見せるというか、妹尾は俺よりも俺のことをわかってるからな」
「何かそんな感じします。先生、何か妹尾さんに守られてる感がありますもん」
「俺もたまにそう思うときがある。妹尾にはもっと自分を大切にして欲しいと思うよ」
妹尾は周りの変化に敏感だが、自分の変化には鈍い。
だから、今日みたいに限界まで我慢したりー・・・
「お互いが大切だから、お互いを守ろうとするんですよね?お似合いだと思いますよ、先生と妹尾さん」
「・・・何だ、急に」
立川だって妹尾をー・・・
「まぁ、俺と妹尾さんもお似合いだと思いますけどね」
「あっそ」
何なんだ?コイツは・・・
「本気で妹尾さんを奪いに行くって言ったら、先生どうします?」
お似合いって言ったり、奪いに行くって言ったりー・・・
言ってることが、押したり引いたりの駆け引きばかり。
「・・・」
そうかー・・・
「なぁんて、冗談で・・・」
「お前が回りくどい言い方をせずに、ストレートに妹尾に告白したら俺は負けるかも」
何を考えているのかわからないんじゃなくて、立川は言葉の投げ方が常に本音と冗談が半々なんだ。