「任意のクラブ紹介どうする?かんなは行く?」

「あー、どうしよう」



体育館の隣にある更衣室を目指して歩きながら、私はうーんと唸った。


正直なところ、私は部活に入る気がないので、特に行く気はなかった。


でも、杏が行くなら行ってもいい。


パフォーマンスを見るだけでも楽しいだろう。


決めかねた私は、杏に委ねることにした。



「杏が行くなら行こうかな」

「やった!じゃあ行こ!」

「いいよ……?」



嬉しそうに即答した杏に、私は内心、首をかしげる。

なにか興味のある部活でもあるのだろうか。

そんなタイプには見えないが。


疑問に思った私だったが、それはすぐに解決された。



「朝倉先輩が司会やるんだってさー」

「だれ?」

「昨日のかっこいい先輩だよ」



杏が満面の笑みで言う。


遅刻ギリギリで来た私と違って、早くに教室に着いて暇だった杏は、クラスメイト達と話していたらしい。


先輩は、昨日の入学式で、在校生代表として挨拶しており、かっこよかったと話題に上がったのだそうだ。



「先輩、生徒会長なんだってー。かっこよくて人望もあるなんて最高じゃない?」



杏が両手を頬にあてて、わざとらしくうっとりした顔をする。


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