仮
「いい目の保養になるよー。……あ、ごめん、かんな。興味なかった?」
「え?」
杏が不安そうに私を見る。
しまった。
先輩の話が出たから、ついまた夢のことを考えて、ぼんやりしてしまっていた。
杏にはそれが、興味なさそうな表情に見えたのだろう。
「嫌なら無理して来なくていいんだよ?」
気を使ってくれる杏に、私は慌てて首を振った。
「違う違う。興味ないワケじゃないよ!むしろ興味ある」
「ホントに?」
「ほんとほんと!」
もう一度、先輩の顔を見たら何か思い出すかもしれない。
「先輩の顔を近くで見たい」
私がそういうと、杏は嬉しそうに笑って
「じゃあ最前列を陣取っちゃおっかな!」
と、はりきって言ったのだった。
◆
「かんなー!こっちこっちー!」
人混みを掻き分け、宣言通り、最前列を確保した杏が私を呼ぶ。
3時間目が終わってすぐの休み時間。
任意参加だというのに、クラブ紹介の会場である体育館は新入生で賑わっていた。
「意外と人来るんだね」
私が感心してそう言うと、杏は「有名な部活多いからね」と教えてくれた。
それによると、ブラスバンド部と新体操部は全国大会の常連らしい。
野球部も何度か甲子園出場している県の強豪らしい。
「ま、アタシ達みたいに、朝倉先輩目当ての子もいるみたいだけどね」
杏がいたずらっぽく笑う。
確かに、私たちの陣取った司会席が1番よく見える席は、女の子の割合が多かった。
「え?」
杏が不安そうに私を見る。
しまった。
先輩の話が出たから、ついまた夢のことを考えて、ぼんやりしてしまっていた。
杏にはそれが、興味なさそうな表情に見えたのだろう。
「嫌なら無理して来なくていいんだよ?」
気を使ってくれる杏に、私は慌てて首を振った。
「違う違う。興味ないワケじゃないよ!むしろ興味ある」
「ホントに?」
「ほんとほんと!」
もう一度、先輩の顔を見たら何か思い出すかもしれない。
「先輩の顔を近くで見たい」
私がそういうと、杏は嬉しそうに笑って
「じゃあ最前列を陣取っちゃおっかな!」
と、はりきって言ったのだった。
◆
「かんなー!こっちこっちー!」
人混みを掻き分け、宣言通り、最前列を確保した杏が私を呼ぶ。
3時間目が終わってすぐの休み時間。
任意参加だというのに、クラブ紹介の会場である体育館は新入生で賑わっていた。
「意外と人来るんだね」
私が感心してそう言うと、杏は「有名な部活多いからね」と教えてくれた。
それによると、ブラスバンド部と新体操部は全国大会の常連らしい。
野球部も何度か甲子園出場している県の強豪らしい。
「ま、アタシ達みたいに、朝倉先輩目当ての子もいるみたいだけどね」
杏がいたずらっぽく笑う。
確かに、私たちの陣取った司会席が1番よく見える席は、女の子の割合が多かった。