「あのさ」


体育館を出て、外の階段に腰をかけた私は話を切り出した。



「先輩のこと気になってたのは、勘違いじゃないよ」

「やった!ホント!?」

「うん。でも、別に好きってわけじゃないんだけどね」

「……なんだ。でも、じゃあなんで?」



不満そうな杏に、私は夢の話をした。


もちろん、背中に羽が生えていたとか、夢で見たとかいうと話がややこしくなるので、


「小さい頃迷子になって、先輩によく似た人に助けられたことがある」


ということにして話をする。



「そっか。確かに気になるねー。その人先輩なのかな」



話を聞いた杏が、うーんと唸る。

悩む杏に、私はその可能性は低いと、理由をつけて話した。


助けてくれた男の人は、9年前の時点で今の先輩と同じくらいの歳だったのだ。

どう考えても年齢が合わない。



「そっかー。じゃあ兄弟とかなのかなー」


杏の考えは私が考えたものと同じだった。

やっぱり、それが1番現実的だろうな。

私は頷く。


どうにかして真相を知りたい。

私はそう杏に話した。

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