MOONLIGHT


2ヶ所、視点を変えての質問にした方がいい、との指摘だった。

相変わらず、鋭いなと思いながら、礼をいう。

案が出来たので後は少し肉付けして、大畑先生に提出だ。

ホッ、と一息ついて、箸を手にした。


その途端、はあ・・・と、ため息を神田先輩がついた。


「どうしたんですか?」


いきなり、ため息なんてらしくない。

驚いて、向かいの神田先輩を見ると目が合った。


「っ、本当に相変わらずだよな。」

「何がですか。」

「あのな…俺がT大を辞めた理由、わかるか?」


いきなりの質問と、珍しくシリアスモードに面食らう。


「え…と、私にフラれて?」

「それもある。」


げ、冗談のつもりで言ったのに。

神田先輩には、ずっとオサムの話を聞いてもらっていた。

で、オサムが1回目の国家試験に落ちたあと、モデルクラブの子と浮気したのがわかった時、神田先輩に告白された。

まあ、断ったんだけど。


ひきつった顔の私に、相変わらずクソ鈍感だよな、と暴言をはく。


「ま、それよりもお前に対しての嫉妬が大きくなりすぎて、自分が嫌になったんだ。その時丁度親父からそろそろこっち手伝えって言われてたしな。」


ホント、びっくりだ。


「私に嫉妬って、まさか、まさか、先輩もオサムのこと…。」

「アホかっ。どうしてそっちに話が行くんだよっ!?俺は正真正銘の女好きだ。じゃなくて、お前の才能と、意地っ張りは除いて、その柔軟な考え方にだよ。」




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