MOONLIGHT



気配を感じて、目が覚めた。


私が体を動かしたから、弁慶が離れまいと体を摺り寄せてきた。

出張に出かける前によく言い聞かせて出かけたから、前のように拗ねることはなかったけれど。

たった5日なのに随分さびしかったようで、弁慶が私から離れない。


空港からマンションまで将は車で私を送ってくれたけど、仕事にもどらないといけないので物凄く名残惜しそうな様子で、マンションの地下駐車場で私を下ろした。

絶対に止まらなくなるからと、キスもせずに。

だけど。


「今晩、寝かせないからな。」


という恐ろしい言葉を残して去って行った。




私は飛行機の中で眠らなかったせいかとても疲れていて、弁慶のぬくもりを感じたら睡魔が襲ってきたので、手早くシャワーを浴び弁慶とベッドに入った。

弁慶は鼻を鳴らしながら、嬉しそうにすり寄ってきた。

将の香りに包まれたベッドと、弁慶のぬくもり。

これ以上リラックスできる場所があるだろうか。


空港で会ったオサムの事を思い出しながら、やはり運命の相手はオサムじゃなかったんだって、そう思った。






「レイ。起きた?」


感じた気配は、将だった。

うーん、とベッドの中で伸びをしながら、愛しい人を見つめる。


「おかえり。」

「うん、ただいま。」


将は、蕩けそうな顔で応えた。

そして、やっぱりいいな、と呟いた。


「何が?」

「うん?仕事で疲れてかえってきて、レイと弁慶が呑気にこうやってぐーすか寝ている姿見ると、ホッとする。あー、俺の家って感じで。」


目じりを下げながら、将がそんな可愛い事をいうもんだから。


「将…もう、5日キスしてないんだけど。」


と、さそってみた。


すると、将は今にも蕩けそうな顔で、シャワー浴びてきてからにする、と言って部屋から慌てて飛び出して行った。





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