MOONLIGHT



「わん!わん!」


将の腕枕でまどろみかけていると、弁慶が私のお腹にのってきた。

くっついている私と将の間に無理やり入りこもうとしている。

勿論私の方を向いて、将にはお尻を向けて。


「なんか、ムカつく。俺のレイなのに。」


将がぼそり、と呟いて私をぎゅうっ、と抱きしめた。


「ヴゥーーーー(怒)!!」


将を威嚇しながら、弁慶も私にべったりくっついてくる。

あまりに可愛くて、弁慶とちゅーをする。

すると、将がムッとした顔で。


「何だよ、俺だってキスしたいんだよ。」


そう言って、濃厚なキスをされた。

だけど、止まらなくなって。

将が私の中にまた入ってきた。


「スゲー、グチグチョ。レイのここってやらしー。」


激しい動きをしながら、そんなことをいう将。

私は、心も体も…同じくらい将が好きで。

心も体も同時に満たされた―――







多分、そのまま気をうしなってしまったのだろうか。

夜中。

咽が乾いて、目が覚めた。



ベッドを抜け出し、バスローブをはおりキッチンへ。

冷蔵庫の中のミネラルウォーターをとりだす。


リビングのソファーに座り咽を潤した後、タバコを咥えた。

時計を見ると、12時過ぎ。

遅いけど、まだ起きているだろう。

私は携帯を手にした。







『何だよ、帰国の報告はもっと早くしろよ。』


どう考えても、電話の向こうはキャバクラっぽい。


「取り込み中、悪いですね。大畑先生には空港から帰国報告をしたんですけど。神田先輩のこと、すっかり忘れていて。今思い出したんです。」

『おーお、5日間分のセックスした後、やっと俺を思い出してくれたんだ。』

「男のひがみって、何かドン引き。」

『うるせーよ、ふん。どうせひがみだよっ。』

「あ、開き直った。先輩、どケチなうえ、そんな風じゃ、キャバクラでももてませんよ?」

『どケチって、言うな!始末屋って言え!!』

「大差ないですよ。そんなことより…色々ありがとうございました。」


私は、冗談めかした口調から、本題に入った。


『ああ。梶教授の話うけることにしたのか?』


最初から、この電話の理由が神田先輩はわかっていたのかもしれない。

平然とした口調だ。


「私も、無様になってみようかと思います。」

『そうか。頑張れ。応援している。』




神田先輩の言葉が胸をついた―――








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