MOONLIGHT
翌々日は休みだった。
将は、『ムーンライト』の舞台の公開リハーサルで朝から出かけて行った。
この舞台は、5日間の上演でクリスマスに千秋楽を迎える。
2人にとって初めてのクリスマスに仕事でごめんと謝られたが、私は何故か昔からそんなにイベントごとに囚われる方ではないから、気にならないんだけど。
だけど、あんまり将が気にしているので、クリスマスだから千秋楽に見に行くと言ったら、将のテンションが上がった。
そうか、将のテンションを上げるにはイベントを絡ませればいいんだ。
・・・ってことは。
クリスマスプレゼントとか用意した方がいいんだな。
ぶっちゃけ、何にも考えていなかった。
男物のプレゼントなんて、選んだことないし。
オサムはいつも自分で欲しいものを申告してきたし。
考えてみたら、お父さんにも典幸にもあげたことなんてなかったな・・・。
いかに自分が今まで、周りを気にしないでやってきたか、今更ながらわかってしまった。
仕方がない。
買い物にいくか。
出かけた先は、銀座のデパート。
何故銀座かというと、お母さんが昔からお父さんに何かプレゼントをする時に来ていたデパートだから。
お父さんと典幸には色違いのネクタイにした。
そして、大畑先生には世界のビール詰め合わせ。
クリスマスに自宅へ届くようにした。
それからまあ、世話になっているから神田先輩にも。
健康グッズ。
青竹踏み・・・代奮発だ、ハムカツ定食より高額な500円。
まあ、どうでもいいけど。
そして、将。
散々迷ったけど。
お財布にした。
ブランド品の頑丈なタイプ。
実は、私とおそろい。
将が黒で、私がパープル。
ついでにキーケースもおそろい。
喜んでくれるかな。
どうにか、買い物を終え、疲れたので自販機のある喫煙コーナーに座る。
で、激しく後悔した。
何故なら。
目の前には、事務長が立っていたから。
オサムの母親が。