MOONLIGHT



私は志摩ちゃんって言う人をじっと見た。


「こ、この前は言いすぎたって、ちょっと思ってる。」


そっぽを向いていきなりそんなことを言ってきた。


「志摩ちゃんっ、謝る時はちゃんと謝らないとダメだよ!」


夕真さんがすかさず注意をする。

何か、この2人姉妹みたいでいいな。

そう言われて、志摩ちゃんって言う人は唇をかみしめた。

ふ、私この人に相当うとまれてるな。

ま、私女性に好かれないから女友だちっていないしな。

別にいいけど。


「別に、無理して謝んなくていい。それに、私に謝るより、将に失礼な事を言ったんだから謝るなら将にだと思うけど?あー、でも。将は全然気にしてなかったな……言葉のセンスが悪いって言うのもなんか、一つのキャラって考えているみたいだし。実際の将もそのキャラとはだいぶ違うし。本当の自分じゃないから、別に悪口言われても気にならないのかも。」


さらりと思っていた事を言うと、2人とも凄く驚いた顔をした。

志摩ちゃんって言う人は黙り込んだ。

そして、夕真さんは。


「あー、やっぱり、レイちゃんて、タケちゃんなみに格好いい!!」


何故か、1人はしゃいでいる。

相変わらずよくわからないけれど、信じられないくらい可愛いな。

そりゃあ、将の初恋も頷けるよ。

だけど。

将とはきっと合わないな…。

将には悪いけど、手ごわ過ぎる。

将には扱いきれない。


「…タケちゃんって言う人がよくわからないんで、何ともいえないんですけど。」


夕真さんの話がよく見えなくて、返す言葉もうまくできなかったのだけれど。


「むーーー、いくらレイちゃんでも、タケちゃんのこと『タケちゃん』って呼んだらダメー!!呼んでいいのは私だけなのっ!!」


よくわからない…。

だけど、呼んだらダメって言うことなんだ。

まあ、これからは気をつけよう。


「わかりました、何のことか理解できませんが、そう言われるならこれからは呼びません。それより、志摩さんっておっしゃるんですよね?」


私はそう言いながら向き直った。

夕真さんが、私の話スルー!?って憤慨してるけど、大事な話なので無視した。


「そうだけど?」


夕真さんの剣幕に遠慮しながら、彼女は答えた。


「ねぇ。何でっ!?私の話もう終わり?タケちゃんがどれだけ格好良かったかの話まだしてない!!」


私は話が先に進まないので、夕真さんをギロリと睨んだ。

私の睨みに夕真さんが涙ぐむ。

青山さんなら、ここできっと夕真さんの話を優先するんだろうけど。


「あ、あのっ。私のことよりも、夕真さんの話を先に…。」


この人も、夕真さん優先者か…。

私は首をふった。


「どちらを優先するかは、私が決めることよ。どちらが今は大事なのか、判断をあやまったら私後悔するもの。」


私の真剣な物言いに2人が黙り込んだ。

そこへ。


「ゆまっ!?どうしたのっ!?」


青山さんがやってきた。


ますます面倒な状況になったから、2人は放置して。

志摩さんの手を引いて、2人から離れた。






< 119 / 173 >

この作品をシェア

pagetop