MOONLIGHT


だからといって、オサムに何もできるわけもなく。

次の日、立石先生に様子を伺う電話を入れるくらいだった。

オサムが来て、少し落ち着いているらしい。


まあ、よかったけど…。


「城田、悪いがちょっと取材これ以上断れなくてなー。大学がらみの2件ほど、受けてくれないか?」


珍しく弱り顔で、神田先輩がやってきた。

ひとつは、この地方の有力な新聞で、もうひとつは医療関係のトップと云われる月刊誌だった。

とりあえず将に連絡を入れた。

勝手なことをして迷惑をかけるといけないから。

将は構わないけどと前置きをして、神田先輩に変われと言った。

素直に従う。

私の携帯を受け取った神田先輩は、メモをとりながら話し出した。

これは長くなるな、そう思った私は。

学生のレポートに目を通し始めた。


しばらくして、目の前に携帯が差し出された。

神田先輩の話は終わったらしい。



「もしもし?」

『あ、レイ?そういう事だから。そっちに3時頃行くから。今日は、ベリー・Bのスーツだよね?』

「うん。」

『じゃあ、服はそれでいいな。舞台の稽古も昼過ぎに終わるから、じゃあ後で。』


いそいそと電話を切ってしまった。


って、今。

将が3時に来るっていわなかった?

え?


「ええっ?将、ここに来るの?」


今さらながら焦り出す。


「何だ、お前話をきいてなかったのか?あいつの方もどうしても断れない取材が入って、丁度いいからここでまとめてやるってよ。」

「ええっ!?」


あまりのことに驚愕する私。

だけど、神田先輩は平然と。


「あー、大丈夫だ。理事長用の応接室使わせてやるから。ここじゃー、屁の臭いするもんなー。」


平然となにいっているの?

オナラは誰のせいだよ!?





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