MOONLIGHT
「普通は…ってよくわからないけど。明日からの舞台って、将がすごくやりたかったらしくて、オーディションうけてまで、勝ち取った役なの。だから、舞台の成功を願ってるから引き下がってるんだけど。」
まあ、今回の事は今はだまっているけど結構頭にきてる。
「だけど、水沢リカって無茶苦茶だろ!?」
「うん。結構無茶言ってるね…だけど、それを受け入れたのは、将だから。この場合、無茶なのは将だよ。ちょっと、てゆうか大分見そこなった。実は相当頭にきてる。」
「いや、そこまで?…まあ、怒るのもわかるけど…うん、そうかもしれないけど。でも、将さんの立場だったら…っていうか、将さん若手ではナンバー1俳優だし、モテるし…かといって仕事上むげにもできないから、気の毒かも。」
私の怒りのボルテージがいきなり上がったせいか、芝崎が急にしどろもどろになった。
「何が気の毒よ。結局、水沢さんがへそ曲げたら舞台が上手くいかないからって、なんでもかんでもきかなきゃいけないの?将だってプロなんだから。そこらへん上手くやれないで何がプロなのよっ。結局、一番弱い弁慶に負担掛けてるのに。自分で何とかしろっていうのっ。口もきけない、弁慶に無理なことさせて!私、弱い者をかばえない人間は、ダメだと思う!!」
何か、段々腹がたってきた!!
だけど、これだけ熱弁したのに、芝崎が急に怪訝な顔をした。
「え?……ちょっと、まって。何で?弁慶の話?」
「は?」
何言ってるの?私の怒りMaxの話じゃないの?
「いや、あの水沢リカんとこの社長の、将さんとリカが恋人役なんだから、レイさんが現場にくると、リカの調子がくるうから舞台に来るなって言われて、腹がたってるんじゃないのか?」
芝崎が心底驚いた顔で言った。
何だ、芝崎も結構俗物だな。
「んなわけないじゃん。将は仕事だし。そんなくだらないことで怒るはずない。じゃなくて、弁慶って人見知りが凄くて内向的な性格なの。犬好きって水沢さんは言うけど、弁慶がいやがってるし。毎日元気がなくなるし…相当ストレスがたまってるみたいなのに、水沢さんの機嫌を取るためだけに、弁慶を水沢さんの所に残すって、本当に信じられない。」
本当に、思いもよらなかったという感じで、私の話をきいている芝崎。
「なんだ、俺、レイさんがあの社長のことで怒ってるのかと思った。」