MOONLIGHT



「まさか。」


私は首をふった。


「え?やきもちとか、焼かないか?」

「だって、仕事だし。将の目を見れば、私に気持ちがあるのか他にあるのかわかるし。私の顔を水沢さんにみせるなっていうなら、それはいい舞台のためだからなんとも思わないし。」


普通に答えた私に、何故か芝崎が爆笑した。










青山のお屋敷の前で芝崎と2人、タクシーを降りた。

ふと、暗くなった空を見上げると。

今日は、二日月だった。

二日月――三日月よりも細い月。

私は、実は二日月が結構好きだったりする。


二日月を見上げて、怒りがこみ上げていた胸のつかえがスッ、とおさまった。

やっぱり、月はいい。



そうだ。

こんな気持ちで将と話したって、感情的になるばかりだ。

冷静になろう。

もっと、私を。

私を照らして。


ムーンライト…。





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