MOONLIGHT
☆貴方を照らして
遅くに、疲れた顔で帰ってきた将は弁慶を抱きながら、泣きそうな顔を私に向けた。
青山さんの家には来客用の部屋が沢山あり、将専用の部屋もあるので、私は既にベッドに入って、テレビを見ていた。
「おかえり。」
そう言うと、弁慶が私に飛びついてきた。
抱きしめて、キスをして撫でくり回すと咽を鳴らして満足そうな顔をする。
思ったよりダメージは受けていない。
よく言い聞かせて、弁慶も納得しての行動だったせいか。
弁慶の様子を見て、ホッとした。
「レイ、俺にもキスをして…。でないと、俺…明日上手く舞台できないかも…。」
その言葉に、ぶちっと、何かがキレた。
せっかく二日月に照らされて穏やかになった心も、一瞬にして怒りが生まれた。
「何だ、それ。そんなの、水沢リカと同じじゃない。何言ってるの!?将、プロの俳優でしょ?そんな、いい加減な気持でやってるなら止めろっ!!~じゃないとできない、なんて言い訳!そんなの、頑張って協力してる弁慶に失礼だ!!」
バシッと言ってやった。
俯く、将。
反省しろ!!
そう、冷たく突き放そうとしたけれど。
私は、ため息をつくと。
抱き寄せて、おでこにキスをした。
将がすがりつくように私に抱きついてきた。
それさえも・・・怒りより、可愛いって思ってしまうのは―――
悔しいけれど・・・。
はあ。
惚れた弱みってやつだ。
だけど、調子こいて、ベッドに私を押し倒して将は私の口に舌をねじ込んできやがった。