MOONLIGHT



やはり疲れているのか。

ビールを1本、殆ど一気に飲み干すと、眠気が襲ってきた。

タバコをもみ消し、慌てて立ちあがる。


「悪いけど、失礼するわ。もう、限界なの。」

「いや、まだ話が…。」


青山さんが、私を引き留めようと立ちあがってこちらへ向かってきた。

さすがにイラッとして、ビールと一緒に持ってきてもらっていた水を、青山さんの顔にぶちまけた。

青山さんの驚いた顔。


「いい加減にして。私、ずっと2週間無休で働いて、夜勤続きなの。3日で5時間しか寝ていないの。もう限界だから、ホテルにもどって寝るから…それから、今、青山さんに水かけて、すっきりした。これで、先日の誤解発言チャラにするから。もう、謝らなくていいから。これっきり会う事もないと思うし。」


そう言って、歩き出そうとしたけれど。

少しふらついた・・・と、思ったら。

突然、担がれた。

瀬野将に。


「夕真ちゃん、一生のお願い。夕真ちゃん達の部屋、譲って?」


ちょっと、何言ってんの?

そう思ったら。

夕真さんのちょっと悪そうな笑顔が見えて――



目の前が真っ暗になった。




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