MOONLIGHT
瀬野将との激しいキスの後、また気を失うように眠ってしまったようだ。
何かが動く気配で、意識が浮上した。
今度は、瀬野将に抱きしめられていなかった。
だけど―――
目を開けて気がついた・・・。
はあ。
ここは、さっき眠っていた部屋じゃない。
白とナチュラルウッドで全て統一された、シンプルな部屋。
多分・・・瀬野将の寝室。
だって、私が寝ているこのベッドは、瀬野将のセクシーな香りが充満してる。
まずい。
これは、かなり・・・。
寝過ぎのためか、まだ体がだるく起き上がる気にもなれないが、内心はかなり焦っている。
「どうしよう。」
そう呟くと。
「わんっ!」
いきなり、吠えられた。
「弁慶!!」
慌てて、起き上がり弁慶を見ると、いつものように尻尾は振っていない。
あれ?
おいで?と言って手を出しても、ベッドの端からこちらにこない。
え?
どうして?
「もしかして、嫌われちゃった?」
でも、怒っている目ではない。
何て言うか…。
「拗ねてんだよ。あんなに仲良くなったくせに、突然いなくなって。こいつ、ずっと、玄関にいたんだぞ?この2週間。」
「え…。」
突然部屋に入ってきた、瀬野将にも驚いたけど、その言葉にも驚いた。
「こいつさ、本当に不器用で、犬のくせに愛想ふれないんだよ。血統書つきで、スゲー綺麗な犬なのに、人になつかないの。猫以上にツンツンしてんの。で、ペットショップで売れ残ってて、ほおっておけなくて。それが出会い。何故か俺とは気が合ってなついたけど、レイは一目で気に入ったみたいで。弁慶、レイのこと大好きなんだよ。」
驚いて、弁慶をみる。
耳が垂れ差がって、悲しそうな表情だ。
私は、慌てて、弁慶の前で頭を下げた。
「弁慶、ごめん。私、自分のことばっかりで、弁慶の気持ち考えなかった!ごめん、ずっと待っててくれたんだ!ごめんね、ごめんなさい。」
もう、ベッドの上で、土下座状態だ。
すると。
ペロリ――
弁慶が私の頬をなめた。
体を起こすと、弁慶が私の膝に飛び乗ってきた。
「弁慶!」
尻尾はちぎれるんじゃないかと言うほど、左右にゆれる。
「レイ、ここに住まないと、弁慶がもう許してくれないと思うけど?どうする?次は、絶交されると思うけど?」
そうきたか…。