MOONLIGHT



何故か私は、昔から人間には意地を張るくせに、動物には素直で。

弁慶のあの可愛さには、私のちっぽけな意地もなくなった。


結局、瀬野将の家に本格的に住む事にしてしまった。

それも、今までとは違って、倉庫の方の部屋ではなくて、瀬野将の部屋の方に。

はい、今度は言い逃れもできません、しっかり同棲と認識しての事です!


と。

逆ギレぎみに自分に納得をさせて、新しい道を進む事にした。


瀬野将は、とても不思議。

年下のくせに、私の世話をやきたがる。

私がしっかりしてるようで、危なっかしいんだって。

年下のくせに、私を甘えさせる。

自分が甘えるんじゃなくて、たっぷり、甘えさせる。

そして、弁慶は。

私を一途に必要としてくれる。


こんなこと、初めてだ。



それで振り出しにもどるんだけど。

今瀬野将が住んでいるマンションも、戸田のもので。

結局、戸田の思う壺になってしまった。


かなりムカつくけど。

戸田の泣きそうな顔をみてたら、馬鹿馬鹿しくなってきて。

甘えてみることにした。


だけど、よく考えて住所は瀬野将の倉庫の部屋の方にしてもらった。

瀬野将との仲もはっきりしていないし、その方がいいかもしれないと、なんとなく思った。



そして、夜勤明けの今日、家に戻る前に、役所へ行って住民票を移してきたのだった…。




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