MOONLIGHT



目覚めると、外は真っ暗だった。


「ん…。」


ベッドの中で、伸びをすると弁慶が擦りよってきた。

布団の中で、パタパタと音がする。

ああ、もう、たまらないなー。


「弁慶、大好きーーー!」


そう言うと、言葉がわかるのか、喉を鳴らしながら、私の口を舐めてくる。

相思相愛とは、こういう事を言うんだろうな。

幸せを噛み締めていると。


「それって、俺との本番に向けてのリハーサル?」


帰宅したばかりという感じの、瀬野将が部屋の灯りをつけてニヤリと笑った。


何で帰宅したばかりとわかるかというと、瀬野将は外出時は何故かキャップとサングラスが必須アイテムとしているからだ。


帽子好きか、目が弱いのか、単に格好つけてるだけなのか。

眩しさに目をしばたたかせていると―――

よってきて、すかさず、キスをしてきた。

・・・それも、濃厚なやつ。

ようやく、唇が離れて肩で息をする。

瀬野将は、息も乱れていない。

年下のくせに、それがくやしくて。


「本番の予定はないから。」


ピシャリ、と言ってやった。

だけど。

その途端、ベッドに押し倒された。

上には瀬野将。


「何言ってるんだよ。俺のベッドで、こんな挑発的な姿で、その気はないっていったって、冗談にしかとれないぞ。」


そう言って、私の首筋に唇を這わせる。


「…!!!」


そうだった!

私、自分の部屋に行くの面倒で、シャワー浴びた後寝室においてあった瀬野将のTシャツだけ着て寝たんだ!

てゆうか、下着もつけてない!!


ピ、ピンチ?


恐る恐る瀬野将を見上げると、はあっ、とため息をついて、私の上からどいた。

すかさず、弁慶が私のお腹に乗ってくる。


「あの、さ…。」


私が横たわる横に瀬野将はあぐらをかいた。


「俺、本気なんだよ。本気で、無茶苦茶レイに惚れてる。絶対に離れる気も、離す気もない。だから、一緒に住んでる。俺の気持ちわかってただろ?」

「…うん。」

「で、俺の気持ちわかってて、一緒に住んでるってことは期待していいんだよな?」

「…うん、私も瀬野将が好き。」


何故かサラリと、口にできた。

弁慶の温もりのせいかな。


「…はあっ。よかった…。」

「何、フラれると思った?」

「いや、レイって、モテるし。葉山さんのことだって…。」


ありゃ、完全に典幸のこと誤解してるし。





< 41 / 173 >

この作品をシェア

pagetop