MOONLIGHT



「オサムってやつ、バカだよなー。レイみたいなイイ女他にいないってーの……もう、レイ。大好き。俺と結婚して。絶対に!!」


そう言うと、強く私を抱きしめ、激しいキスをしてきた。

と、思ったら。

急に私の体を、離した。


「え?」


この流れから、こう来るとは思わなかったので、キョトンとしてしまった。


「はぁ。ダメだ…このままいくと、我慢できなくなる!!」


瀬野将は、苦しそうな顔をした。


「我慢?」

「だって、男は離婚してもすぐ結婚できるけど、女は離婚して半年たたないと結婚できないんだぞ?」

「え?そうなの?」

「ああ、だから今すぐにレイを抱きたいけど、子供できたら…そりゃあうれしいけど、なんか直ぐにできたら、あとでガタガタいわれそうだろ?だから…誰からも、何にも文句いわれないような体制にしてから、ちゃんとレイをおれのものにしたいんだ。だから…我慢する。」


えっと。

それって、私の事を考えてくれてるって事だよね?

凄く、嬉しい。

瀬野将がそんなに真剣に私のことを考えてくれていたなんて…。


「瀬野将、ありがとう。」


だけど、今日話をしようと思ってたことが、話づらくなった。

なんか、ガッついているみたいに思えるし…。

それに、ピル飲めば妊娠しないんだけど…。

それも、言っちゃったら、なんかガッついているみたいだし…言いにくいな…。


「レイ?どうした?」


私が考え込んでいたら、瀬野将が心配そうに顔を覗き込んできた。

私は慌てて、考えていたことがわからないように、首を横に振った。


「でも、よく女性が離婚半年は結婚できないって知っていたね?」

「あー、ドラマで、そういうのがあった…から。」


ドラマか…。


「へぇ。瀬野将って、ドラマ見るんだ?私は高校の頃から勉強とか、家の事が忙しくてテレビみてないなー。大人になってからは、仕事でもっといそがしくなったし。殆ど情報は新聞からだな…。」


と、何気なくそう言ったのに。


「うん、レイがテレビを見ないのは、よくわかる。」


なんて、強く頷いて納得していたけど。


何で?



「わん、わん!!」


理由がわからなくて首をひねっていたら、弁慶が吠え出した。


「はぁ、せっかくいい雰囲気だったのに。餌の要求だ…。」


ため息をつきながら、瀬野将が立ち上がった。


その途端、弁慶が私の膝に。






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