MOONLIGHT
7、真実と現実
どうか、戸田に会いませんように!!
そう念じながら、弁慶と戸田の家の前の道を歩く。
が。
「城田先生!!」
意外な人物と出会った。
振り返ると、品のいいショートカットに眼鏡のマダム。
「…ああ、ご無沙汰しております。坂井さんの娘さん、でしたよね?」
坂井さんというのは、オサムの病院に入院していた80歳のおじいちゃん。
オサムの母校の大学病院で、胃がんの手術をして退院をしたのだが、なかなか食べられないので体力が落ちるとオサムの病院に入院をしていた。
私の患者だった。
このマダムは坂田さんの長女で、しょっちゅう見舞いに来ていたからよく話をしていた。
「はい、ご無沙汰しております。父が本当にお世話になりました。急に城田先生がみえなくなったんで、びっくりしたんですよ?」
ああ、そうだ患者さんには申し訳ないことをしたな…。
そう思っていたら…。
「レイちゃん!!何だ、遊びにきたのかーー!?」
上機嫌の、野太い戸田の声が聞こえてきた。
はぁぁ。