MOONLIGHT
配り終わるころに、1杯目を飲み切った。
浜田に空いたグラスを渡す。
その様子を見て、何故か慌てて瀬野まで一気に飲み干した。
つられて、戸田まで。
一気飲み大会じゃない、っての。
はあ。
バカじゃないの?
この人たち。
私は、付き合いきれないと思って、もう一つのグラスも手に取った。
早く、出よう。
一気飲みをして、席を立つ。
何故か、瀬野も、戸田も一気飲みをした。
意味・・・わからないし。
「なあ、まだ酔っぱらってねーじゃん。飲み比べしよーぜ?帰るには、まだ早いだろ?」
瀬野が、歩き出そうとした私を引き止める。
私は、大きくため息をつくと、振り返りもせず首をふった。
立ち上がった私に気が付き、浜田がやってきた。
「チェックしてください。」
そう言うと、申し訳なさそうに浜田が首を振った。
「今日は申し訳ありませんでした。ご気分を悪くさせたお詫びに、お代は頂けません。」
今度は、浜田の言葉に私が首をふる。
借りをつくるなんてまっぴらだ。
「おれーさーん、今日は大スターのおごりだかりゃ、大ジョーブ。気にしないれー。」
戸田が、はしゃいだ声をだした。
「何だよ、珍しいな。たった、ビール2杯で酔っぱらったの?戸田さん、ろれつヤバくないか?」
からかうように、瀬野が言った。
「あぁ?おりぇが、よぉったぁ、にゃんて、らい……ありぇ……?」
戸田の滑舌の悪さに私は、振り返った。