MOONLIGHT



もつれ合うように、ベッドに2人倒れこんだ。


お互い余裕なんてなく。

唇を貪りあう。

早く抱き合いたくて、もどかしくて。

私は自分の纏っているものを、乱暴に脱ぎ棄てて行く。

その様子に瀬野将は一瞬、驚いた表情をしたが。

瀬野将も直ぐに、自分の服を脱ぎ捨てた。

生まれたままの姿の2人。

もう、その姿に見とれるとか、そんなことはどうでもよくて。

早く、瀬野将の肌を感じたくてせっかちに瀬野将の腕の中に飛び込んだ。

肌と肌がぶつかった瞬間、鳥肌がたつほど一瞬で興奮した。

堪らなくなって、瀬野将の肌に唇を這わす。


「んっ……。」


瀬野将の、切ない声がもれる。

瀬野将の指が私のからだを、激しくまざぐる。


2人で絡み合って、まだ繋がっていないのに、高みにのぼってしまう。

絶頂を感じ、声を上げると。

目の前が一瞬白くなった。

波が少しおさまり、瞳をあけると。

目の前には切なく苦しそうに歪む顔。

クスリ、と笑い下半身へ唇を這わせた。


「レイッ、そんなことしたらっ、俺っ、もう……。」

「だから、でしょ?私だって今イったんだから。おあいこ。」


そう言って舌を艶めかしく動かした。

瀬野将の、切ない声がセクシーで、ゾクゾクする。

今、イったばかりなのに、声をきくだけでまた私の中で波が押し寄せてきた。


そして。

お互いが果てた後、ようやく私たちは一つになった。



それは、信じられない程の、悦びだった。









「はあ……何か、負けた、って感じだー。」


私に腕枕をして、抱きしめながら、瀬野将が呟いた。


「何それ。」

「何それ、って、こっちのセリフ。はじめての時になりふり構わず自分から服を脱ぎ捨てる女なんて…。しかも、それがスゲー格好よくて、みとれるなんて。俺がものすごく欲しくて堪らないって、ギラギラした目に射抜かれちゃって・・・俺、舞い上がって、余裕なんてなくて・・・はぁ・・・もう、俺のセックス観全て覆された感じ。
降参だよ。」


かなりへこんでいる様子の、瀬野将。


私は、ため息をついた。









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