MOONLIGHT
10、幸せと現実の間で
入籍は、葉山に戸籍を入れた後にするので、来年の私の誕生日に決めた。
瀬野将のプロダクションには、私たちの結婚の話はすんなりと承諾された。
まったくの予想外の瀬野将の俳優という職業に驚いたが、また知ってしまうと急に気になり、さっそくネットで調べてみた。
ら!?
「!!!」
声が出ないほど、驚嘆した。
瀬野将って。
瀬野将って。
瀬野将って…………!!!
こんなに人気俳優だったんだ。
子供モデル出身で。
その後俳優に転身。
そのルックスと、演技力の高さで、数々の賞を受賞している。
げ。
『抱かれたい男』10年連続NO.1をとり、殿堂入りを果たしたって…。
「嘘……。」
私、その『抱かれたい男』に抱かれましたけど…。
瀬野将の体を思い出し、1人赤面する…。
「・・・・。」
「おー、城田って、案外ムッツリだなー。『抱かれたい男』の文字だけで、そんなに反応するなんてなー。アイツそんなに良かったのか?」
いつの間にか私の後ろに回り込んで、パソコンを覗き込んでいた、神田先輩に飛び上がった。
「わっ……な、な、何してんですかっ、こんなところでっ!?ノックぐらいしてください!」
私の慌てふためく姿をゲラゲラ笑いながら、私に大きなダンボール箱を渡した。
「おっきな、荷物持ってたんでなー。ノックできなかったなー。この大きな荷物わかるかー?」
「あっ?空気清浄機だ。」
うわ、神田先輩本当に買ってくれたんだ。
びっくり。
明日雨じゃないだろうか?
「お前、スゲー失礼なこと考えてないか?」
不毛な会話は無視をする。
いそいそと箱を開け、空気清浄機を設置する。
スイッチ、オン。
うん、イイ感じ。
これで、心おきなくタバコが吸える。
まあ、これまでも関係なく吸ってたけども。
「おー、イイ感じじゃねーか。」
「はい、ありがとうございました。」
一応、頭を下げる。
「いや、まだ礼はいいぞ。」
「え?」
「まだ、お前のもんじゃない。」
「はっ!?」
「交換条件がある。」
ニヤニヤ笑いながら私のタバコに手をだす先輩、クソ神田。
「詐欺みたいな話ですね…何でしょうか?」
「来週の水曜日。13時30分に、T大の梶教授の研究室へ、この封筒を届けてくれ。」
そう言って手渡される、封筒。