MOONLIGHT


論文から顔を上げると、知らない男性。


11月も終わりだけど、ポカポカ陽気で気持ちがいいので、オープンカフェの方の席に座っていたから、道を歩く人から近い。

この人も道を歩いていたのだろう。

20代後半の爽やかなわりとイケメン。

ジャケットを着ているけど、ラフなもので下もジーンズだから、勤め人ではないだろう。

その人は、私の手元の論文を見て、あ、と言った。


「すみません、てっきり、モデルさんかと思って…。」


申し訳なさそうな顔をした。

私は、いえ、気にしないで下さいと首を振った。

話は終わったのだろうと論文に目を落とし、気になる確認したい点のメモをし出した。

原文が英文なので、もし発表した人に質問をするにしても、英語になるだろうから、そのまま英語でメモをしていった。

頼んだコーヒーがきたので、顔をあげると。

さっきの人がまだ立っていた。


「え…なにか?」

「いや、席が一杯なので。」


ああ、昼時だしね。


「すみません、よろしければ、ご相席お願いできますか?」


すかさず、店員が続ける。

仕方がないので、タバコ吸いますが、それでもいいなら、と言うとその人は、速攻で席についた。

そのまま店員に注文をする。

何だか、居心地が悪く、タバコをくわえ、火をつける。

2口吸って、また疑問が浮かび、くわえタバコでメモをしていく。

あっという間に疑問点や、確認したい事が、15項目になってしまった。

短くなったタバコを消し、新たに火をつける。




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