MOONLIGHT
「何を勘違いしてるかわかんないけど、これ見ろ。」
少し尖った、ハスキーボイス。
「やだ。見たくない。将が他の人とキスしてる所なんて。」
そう言って、顔をそむけると。
将が呆れたように、ため息をついた。
「何で、俺を信じないんだよ。レイ…俺たちあの夜、愛を誓ったよな?俺がレイ以外もう抱けないって言わなかったか?」
「………。」
そんなこと言ったって、モデルと噂になって写真まで撮られてるじゃないか。
そう思って、私が顔をそむけたままいると。
将が私の顔を無理やり戻し、私と目を合わせた。
そして、一言。
「目をそらさないで、逃げないで。俺の愛を信じろよ。」
そう言って、週刊誌の中の記事を見せた。
そこには…。
「あれ?私……?」
顔はうつってないけれど、将とキスしている写真の相手は、間違いなく私…だった。
キョトン、としてまじまじ記事を見ていると、将が大きなため息をついた。
「やっと、わかったか。俺は、レイ以外こんなことはしない。」
「だって、木村さんが私に週刊誌のことで謝ってきて、これからもあると思うなんて言うから。」
いいわけを言ってみる。
だけど。
「それは、俺の奥さんってことで、これからもレイが週刊誌に写真をとられるかもってことだよ。」
え?
そうなの?
「じゃぁ、浮気は…。」
「少なくとも、俺はしてない。これからもする気は一切ない。」
「えーと…。」
「って、ことで。西条さんとの浮気疑惑の説明をしてもらおうか?」
将の顔が怖い…。
だけど。
ビクついていたら、天の助けが!
「将、記者会見のこともあるし、そろそろ弁慶の撮影しないと。」
ノックの後、そう言って顔を出した木村さん。
いや、木村様。
将が、仕方がなく立ちあがる。
よかった…。
と、ホッとしたのもつかの間。
「レイ、撮影と記者会見が終わった後、しっかり聞くから。」
そう言って、どす黒く微笑んだ…。