MOONLIGHT



「何を勘違いしてるかわかんないけど、これ見ろ。」

少し尖った、ハスキーボイス。

「やだ。見たくない。将が他の人とキスしてる所なんて。」

そう言って、顔をそむけると。

将が呆れたように、ため息をついた。

「何で、俺を信じないんだよ。レイ…俺たちあの夜、愛を誓ったよな?俺がレイ以外もう抱けないって言わなかったか?」

「………。」

そんなこと言ったって、モデルと噂になって写真まで撮られてるじゃないか。

そう思って、私が顔をそむけたままいると。

将が私の顔を無理やり戻し、私と目を合わせた。

そして、一言。

「目をそらさないで、逃げないで。俺の愛を信じろよ。」

そう言って、週刊誌の中の記事を見せた。




そこには…。


「あれ?私……?」


顔はうつってないけれど、将とキスしている写真の相手は、間違いなく私…だった。

キョトン、としてまじまじ記事を見ていると、将が大きなため息をついた。


「やっと、わかったか。俺は、レイ以外こんなことはしない。」

「だって、木村さんが私に週刊誌のことで謝ってきて、これからもあると思うなんて言うから。」


いいわけを言ってみる。

だけど。


「それは、俺の奥さんってことで、これからもレイが週刊誌に写真をとられるかもってことだよ。」


え?

そうなの?


「じゃぁ、浮気は…。」

「少なくとも、俺はしてない。これからもする気は一切ない。」

「えーと…。」

「って、ことで。西条さんとの浮気疑惑の説明をしてもらおうか?」


将の顔が怖い…。

だけど。

ビクついていたら、天の助けが!


「将、記者会見のこともあるし、そろそろ弁慶の撮影しないと。」


ノックの後、そう言って顔を出した木村さん。

いや、木村様。

将が、仕方がなく立ちあがる。

よかった…。

と、ホッとしたのもつかの間。


「レイ、撮影と記者会見が終わった後、しっかり聞くから。」


そう言って、どす黒く微笑んだ…。








< 95 / 173 >

この作品をシェア

pagetop