MOONLIGHT



信じられないくらい、物凄いフラッシュの光。


将、目が悪くならないかな…。

あ、将が深々と頭を下げた。


「今日は、お忙しい中、私の婚約会見におこし頂きまして、ありがとうございます。
先日、私は一般の女性と婚約し、来年の1月1日に入籍しますことをご報告いたします。」


堂々と将が、沢山の取材陣のまえで話している。

直ぐに、質問がいろいろとびかったが、将は言葉少なく、簡潔に応えている。

何か、いつもとキャラが違う。



私は、青山華道会館2階のモニター室で記者会見の様子を見いっていた。







質問が続くなか、戸田と夕真さんが、笑顔で登場した。

ワッ、と場内がわく。


「こんばんはー!口下手将くんの助っ人、夕真姉さんでーす。」


ピンクのワンピースを着た夕真さんは今日も可愛い。


「こんばんはー!口下手将くんのキューピッドのカイチョーでーす。」


戸田…まさか。


何だか、おちゃらけた2人はマスコミに大人気で、笑いをとり、私の雰囲気とか印象をいい感じでぼやかして語ってくれた。

戸田は案の定、心筋梗塞の時の話をしだし、私が医者だということだけを紹介した。

その他、夕真さんの話や、戸田の個展の宣伝、ベリーBの新作の話になり、あっというまに、1時間たっていた。

そして、爆笑のまま、凄い楽しいムードで会見が終わった。





「やっぱり、夕真さんだよね。」


隣で見ていた、私と同年代の綺麗な女の人が、ため息をついた。

あ、この人この間、私を指差してなんか叫んでた人だ。

私に、話しかけているようだから、そうなんですか、と相槌をうつ。

すると、その人は。


「そうよ、将くん話あんまり上手じゃないから、イメージ保つのに、事務所サイド話をさせないようにするの、必死なんだからっ。」


イメージねぇ・・・。


「将は、ちゃんと話しますよ?普段。」

「あー、言葉のセンスが悪いのよ。最悪に。」


センス…。


「それも、個性なんじゃないですか?」


私がそう言うと、その人はため息をついた。


「素人はこれだから…。」


何か、その言葉にカチンときた。







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