MOONLIGHT
私は、立ち上がった。
そして。
「あなたの、今の言葉選びも、センスがあるとはおもえないけど。てゆうより、思いやりがないわ。将は玄人が言う言葉のセンスはないかもしれないけれど、少なくとも思いやりはあるわ。私は、センスがある男より、思いやりがある男がいい。」
私が、そう言うとその人は凄く驚いた顔をした。
そして私は弁慶を抱き上げると、その部屋を出ようとした。
が。
入り口に、記者会見を終えた3人がいた。
私と話をしていた彼女は、マズイ、という顔をした。
将の前に立ち、先に帰る事を告げる。
このあと飲み会になりそうな雰囲気だし。
「え、何で?これから俺たちのお祝いを皆でしてくれるって。」
やっぱり。
私は、丁寧に夕真さん、戸田に礼を言い、仕事があるから、と断った。
「仕事なら、明日ここから通えばいいよ。」
夕真さんが、優しく提案してくれる。
「ありがとうございます。でも、2日でレポートまとめないといけないんで、資料は家ですし。」
「そっかー。レイちゃんも忙しいもんね。あ、じゃあ、来週にしよう!」
はあ。
そうきたか。
「すみません、来週仕事で、NY出張なんです。」
そう言うと、将は眉をよせた。
「え、俺聞いてない!」
「うん、今日T大できまったばかりだし。」
「誰と?」
「T大の梶教授。私の専門の循環器のエキスパート。」
「…どうしても、いかないとダメなのか?」
機嫌が一気に悪くなった将。
私は、ため息をついた。