ハジケロ!!


私はしおりを挟んでいた読みかけのダイの大冒険を思い出し、頭の中で、

「バギ!バギクロス!!」

と、真空系の呪文を叫んでしまい思わずニヤリと微笑んだ。


「キモイ」


直子は、そう言って私の心を切り裂くと食卓を後にした。

しまった。

娘に寄生している金髪の青年について尋ねる筈だったが、機を逸してしまったようだ。

私はチラリと金髪の青年を見た。


自分のだけじゃ飽きたらず、直子の食べかけのオムライスにまで手を伸ばそうとしている。

私はとっさに、


「Don't move!」

と金髪の青年に言った。

すると、青年はまたも昼間と同じように驚いたような表情をしたので、


「ドンムーブッ(動くな)」

と綺麗な発音で抑止した。

青年の顔は困惑の表情に変わり、席を離れ食卓を後にした。
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