ハジケロ!!

私は片付けを終えると、二階に上がり娘の直子の部屋をノックした。


「直子。ちょっと話があるんだが」



「私はないけど」


直子の声が部屋の中から聞こえる。

何度もノックする私に、業を煮やしたのか、怪訝そうな顔をした直子が部屋から出てきた。


よし、直子一人だ。
直子に寄生する男について聞くチャンスだ。


「何?」


直子は相変わらず、冷たい声と目で私を見る。その態度に怯みそうになったが、意を決して直子に耳打ちをした。


「…直子といつも一緒にいる彼は、何者かね?」


「ハァ?彼氏だけど?」


「…あの金髪は、外国人だからなのかね?」


「何言ってんの?なわけないでしょ!ウザいんだけど」


私はウザいという言葉を右から左に受け流して、更に続けた。

あの、金髪の髪が外国人ではないのだとしたら…


「…も、もしや、
ス、スーパーサイヤ人なのか?」


私はゴクリと喉を鳴らした。


「はっ!?何言ってんの?……


…そうそう、お父さんの大好きなスーパーサイヤ人なの彼は。だから、もう構わないで!」


直子はそう言うと、すぐに部屋へと戻った。


私の額からは、汗が滴り落ちた。

ま、まさか…

彼が伝説のスーパーサイヤ人だったとは…。現実に存在していたなんて…


私は右手に持っていた辞書をギュッと握り締め、うち震えた。
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