壱億円あ~げる
参加者其の五

「ねぇ、見たあ。なんか壱億円あげるとかって」
「見た見た。けど、ウザくねえ」

シゲとタクの二人が、新宿の街角で立ち話をしていると、先輩であるヒロシが眠そうな顔で歩いて来た。

「よう。シゲとタクじゃない。なにしてんの。油売る時間があるなら、客に電話の一本でもしろよ。」

「スンマセン。ヒロシさんみたいなカリスマホストになるのが、俺らの夢なんです」

「そうです。ヒロシさんに憧れて、ホストの世界に入りましたから」

「俺、今日でホストやめるから」

「いきなり何冗談かましてるんすか」

「ヒロシさんも、人が悪いなあ、へへへ」

「いや、本気なんだよ。俺、壱億円追いかけようと思うんだ。ロマンだよ。男のロマン」
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