桜の蕾が咲く頃に
一通りの検査も今日で終わり、結果を待つだけになった


病室に戻った私は窓を開けた


窓が全開で涼しい風が流れて、カーテンを大きく揺らす


病室の窓の外に大きな夕焼けがあった


「まっかだ……」


私は赤色の太陽を見た


その瞬間、私の脳裏に目の前にある夕焼けよりももっと赤い空が広がった


多分空を見ていたんだろう


そして私の隣に誰かがいる


妙に怖い


どうしてだろう


知らず知らずのうちに呼吸が浅くなって恐怖が大きくなる


『お前は要らなかったんだよ』


少し低く優しい声がゆっくりと言葉を紡ぐ


私のドクンドクンと心臓の鼓動が大きくなる


ーー……っ、誰に言われたんだっけ……?
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