わたしの中の 私
そんなことはお構い無しに勝手に靴を脱いで上がり込む。


『なんで部長と二人で食事?』


ここに来た意味も分からない…。


「あのぉ……私に用事ですか?」


「近くに来たから何となくね。」


唇の片方の口角を上げ、何か企んでいそうな笑を浮かべてリビングのテーブルに座った。

取り合えず部長の前に麦茶を出して、タッパーからお鍋にカレーを追加して温め直す。


温め終わり、二人分のご飯とカレーを器に盛り部長の前へ置く。


「どうぞ。」


「美味しそう。」


部長は黙々と食べ始めた。

私も口をつける。

どんな会話をしたらいいか分からず、私も黙々と食べる。

あっという間に部長の器のカレーは無くなり、


「美味しかったよ。
やっぱ、手作りの料理はいいね。」


「あっ……ありがとうございます。
部長は家では作らないんですか?」

「帰るの遅いの多いから、疲れて帰った後に
するのが、面倒くさくてさ、ついついコンビニや外食ばかりでさ。」

片手で頭をかいて照れていた。


「健康に悪いですね。
こんなので良かったら、また食べに来てくださいね。」


……しまった。


『これじゃあ、私から誘っているみたいだ。』


言った後に何かとんでもないことを言ってしまった気がしたが、後の祭り……。


「……あっ、ありがとう。
じゃあ本当に遠慮なく来ようかな。」


部長は笑顔を浮かべていた。


『遠慮という言葉は、部長には存在しないのか!?』


余計なことを言ってしまった私も私だが、今更仕方がないと諦めた。









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