わたしの中の 私
「部長……だ……誰に見られるか分かりませんよ。」


「そんなの、言われなくたって分かってる。」


「本当に誰かに見られたらどうするんですか?」


「周囲の状況はちゃんと確認してる。
鍵もかけた。」


「……そう言う意味じゃなくて……。」


私は困惑する。


「俺のこと、二人の時は部長って呼ぶのは禁止!
プライベートの時まで、仕事のことは考えたくない!」


「……今、勤務中ですよ。」


「……まあ、二人の時だ。」


「や……や……しま……さん!?」


私は馴れない呼び方に戸惑いながら、部長の名前を呼ぶ。

部長は笑みを浮かべ出て行った。


『何だったんだろう?』


部長の行動が理解出来ず、困惑した。

疑問は残るが、長い時間席を外していては怪しまれるに違いない。

私は近くののトイレに駆け込み、ポケットに入れてあったリップを取り出し、鏡の前に立ち素早く整えた。
























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