わたしの中の 私
駅の方へ歩きながら、私は部長に電話をかけた。

3回着信音が鳴ったところでつながる。


「もしもし矢嶋さん?」


「優葉か、今どこにいるんだ?」


「東口に着いたところ。」


「俺、もうすぐしたら会社を出るから、多分……そうだな、多分10分くらいで着くからそこで待ってろ。」


「分かりました。待ってます。」


電話が切れていた。

5分くらい経ったところで車のクラクションが鳴る。

音のする方を見ると、路肩に寄せたシルバーのセダンの車が停車していた。

その車に運転席側の窓ガラスが下降し、部長が顔を出した。


「あっ、矢嶋さん」

私を見る部長が手招きをした。

私は助手席のドアを開けて乗り込んだ。
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