わたしの中の 私

一時間程経過し私も佐藤主任もほろ酔い気分で、会話が続いていた。

「こっちこっち！」

佐藤主任は遠くに視線を送り、大きく左右に頭上で振りながら手招きをした。

私は主任の視線の先を見た。

温厚そうな主任のご主人の佐藤部長と人事部の矢嶋部長が私たちに視線を向け近づいてきた。


「……えっ！？二人呑むんじゃないの？」


私は佐藤主任と二人きりで呑むものだと思っていた。

まさか佐藤部長矢嶋部長が現れるとはいえ夢にも思っていなかった。

主任も二人がここへ来るなんてひとことも言っていなかったはず。

予想外の展開に私はどうしていいのか分からず戸惑う。

お酒の席での無礼講だからと、佐藤主任に思いきり愚痴を聞いて欲しかった。

二人とどう接していいのか分からなかった。