CRIMSON EYESIGHT ~prologue~



棚からフライパンを取り出し、コンロに乗せ火にかける。


程よく温まったフライパンに薄く油を引くと、作った卵液を流し入れ、お弁当の定番おかず。


玉子焼き、出し巻き風を作り始める。


これは、私のアレンジ仕様だ。



「ジン、今日はパンでいいよね」



料理の合間に作ったコーヒーを持って、彼のもとへ行く。


問いかけとともに、机にコーヒーを置いた。



「ああ」



彼の返事を聞いたところで、台所に戻り。


食パンを二枚取り出しトースターに入れ、三分ほどタイマーをかけた。



彼は台所からちょうど見える位置にあるソファに座って朝のニュース番組を見てくつろいでいた。


と言っても、ほとんど流し見ているだけで、内容は入ってないように見える。


しかし、それは見えるだけであって、彼にどんなニュースがやっていたのか聞くと。


全ての内容を一言一句間違えずに伝えることができる。


初めて聞いたときはそれはそれは、驚いた。



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