CRIMSON EYESIGHT ~prologue~
二歳年上の彼と私は全くと言っていいほど似ていない。
その理由は至極単純明快。
血の繋がった兄妹ではないからだ。
そして、もっと詳しく言うと兄妹でもない。
私たちは同じ孤児院で育った子どもということだけが共通点だった。
いや、もう一つ彼との大きな共通点があった。
それは…
「ユウキ!焦げてるぞ」
「えっ、あ。ああっ!」
いつの間にか出来上がっていた玉子焼きがフライパンの中で真っ黒焦げになってしまっていた。
ぷすぷすと微かに音さえも聞こえる。
考えごとをしていたせいで火からおろすことを忘れていたらしく。
(まず、いつ出来上がっていたのかすら覚えていない)
うまく出来上がっていたそれは、今となってはただの炭と化していた。
これは、いい燃料になる…じゃ、なくて!
唯一の得意料理で、しかもいつも作っている玉子焼きを失敗するだなんて。
それだけで、気が滅入ってしまう。