白の王子と黒の女王
「それに、過去を隠すために握る。

誰にだって、知られたくない過去がある。
現在かもしれないけどな。

お前にもあるだろぉ?
隠し事の一つや二つ。

じゃあな」


私はそう告げると、足早に部屋を出た。
純平の悲しげな表情を見ていないふりをして。

屋上への階段を上れば、龍城の全てを見渡せる。

「屋上からみる景色が好きか?
それとも、悩み事でも?」

屋上のへの扉が見えたとき、飛鳥の顔も見え始めた。

私が来るのを予想して、いつも1人にさせてくれない。

油断も隙もないやつだ。

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