彼の事が好きすぎる私。
人混みの中で困っているとぐいっと花梨の手を誰かが引いた。
「ほら、彼女を困らせないでよ」
やはりそれは亮だった。
「亮っ!本当にこんな子と付き合ってるの!?」
こんな子とは失礼だな、と花梨は思う。
すると亮は花梨を抱き寄せ顎をくいっと上へ向けた。
「うん、付き合ってるよ」
ちゅっ、と花梨の頬にキスをした。
きゃぁ!と声が上がる。
花梨は最初何が起こったのかいまいち分からずぼーっとしていたら騒ぎにやっと気付き状況を理解した。
そして一気に顔は赤く上気する。
「せっ、先輩っ!?」
「逃げよう」
こそっと亮は耳打ちし手を取って2人で人混みをかき分け走っていった。